自己開示のパラドックス

親しい人ほど言えない。カウンセラーには言えちゃう。その理由は“自己開示のパラドックス”

「家族や恋人には言えないことを、なんでもない他人にはポロッと話しちゃった」──そんな経験、誰しも一度はあるんじゃないでしょうか。

これは「自己開示のパラドックス」と呼ばれる心理現象で、「一番近い人には言いにくいのに、関係の浅い相手には逆に言えちゃう」という、ちょっと不思議で皮肉めいた心の仕組みです。

■近い人ほどリスクが高い

なぜ、こんなことが起きるのか?

人は、大事な人ほど「嫌われたくない」「変に思われたくない」といった気持ちが強く働きます。

関係が深ければ深いほど、相手の反応を気にしてしまうんですね。

「これ言ったら気まずくなるかな」

「またこの話かって思われそう」

…そんなふうにぐるぐる考えてしまって、結局、言えなくなる。

■ “どうせもう会わないし”の安心感

逆に、昨日知り合ったばかりの人や通りすがりの他人には、評価される不安がありません。

「どうせもう会わないし」って思えると、心のガードが一気に下がるんです。

これは「ストレンジャー効果」とも呼ばれていて、電車の隣の席の人に、なぜか人生語っちゃった…みたいな、あの現象。(笑)

私自身も経験があります

こんなふうに書いてる私自身にも、「なんでこんなこと話してるんだろう…」って経験、あります。

昔うつを患っていたとき、通っていたクリニックのおじいちゃんドクターに、

誰にも言ったことがないような話を、びっくりするくらいペラペラと話していたんです。

特に信頼関係ができあがっていたわけでもないし、初回の診察だったのに。

今思えば、“ジャッジされない安心感”と、“ちょうどいい他人”という距離感があったからこそ、自然と心が開いたんだと思います。

カウンセリングでもよく起こる現象です

私は心理カウンセラーとして活動していますが、

初回のセッションで「誰にも言ったことないんですけど…」と話してくれる方は本当に多いです。

カウンセラーは、クライエントさんにとって「親でも友達でも恋人でもないけど、安全に話せる他人」。

いわば“ちょうどいい他人”なんです。

評価されない、否定されない、自由に話せる──

この絶妙な距離感と安心感が、自己開示を促すんだと思います。

自己開示は「近しい人にこそ」じゃなくていい

「大切なことは、身近な人にこそ話すべき」っていう考え方もありますが、

私はそうとは限らないと思っています。

話せる相手は、その時々で違っていい。

言えないからといって、自分を責める必要なんてありません。

自己開示のパラドックスは、人間らしさの現れ。

無理に誰かに話さなくてもいい。だけど、誰にも話せなくて苦しいときは、

“ちょうどいい他人”であるカウンセラーを頼ってみるのも、ひとつの方法です。

あなたが最後に「ほんとの気持ち」を話せたのは、誰でしたか?
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