嗜癖と依存のお話

嗜癖と依存は似ているけど違う──あなたを縛るのはどっち?

「依存」と「嗜癖(しへき)」って、似たような言葉だけど、実はまったく別物です。

どちらも、心の奥にある「何か」とつながっている。そしてどちらも、気づかないうちに私たちをじわじわと追い詰めてくるのです。

 「依存」と「嗜癖」の違いをざっくり言うと

依存は、人に寄りかかる状態です。

たとえば恋人がいないと不安でたまらないとか、友達からの返信が遅れると自分の価値が揺らぐように感じてしまうようなときだったり。つまり、自分軸ではない精神的な「誰かありき」の構造になってしまっている場合がそれを指します。

一方、嗜癖は「やめたいのに、やめられない行動」のことです。

アルコール、ギャンブル、買い物、スマホ、仕事、ポルノ、SNS……対象は人じゃなく行動やモノ。

どっちも苦しいけど、根本的な違いがあります。依存は対人関係、嗜癖は行動習慣。だけどどちらも、背景にはささくれだったような心の痛みがあります。

 

私の同居者の話を少し

私の同居者は、たびたび顔を出す嗜癖と先天的な強迫性障害と共に生きています。

かつては重度のアルコール依存症で、今は断酒から8ヶ月が経過。断酒のきっかけは、私が飲酒が嗜癖であること、意識もなく飲んでしまうのはやめなければならない、と指摘したことでした。

私は自営業で小さなバーを経営していますが、過疎の田舎の商売なので限られた客数でやっているようなお店です。ですが、ある日、お店の棚にあったお酒が団体客が連日来たかのようにボトルの底が見えるほど、すっからかんになっていたということがありました。

最初は、ひょっとして気のせい?と思ったけど、どう考えてもおかしいわけです。

本人は自分にとって不都合なことを聞かれるのを極端に嫌う性質なので、私自身聞くのは面倒くさいな…と思いながらも問い詰めたら苦々しい表情で本人が告白。

どうやら無意識のうちに全部飲んでいたということで、いつどれだけ飲んだのか?記憶すらないというわけです。まずは、本人がなかなか認めなかった経緯もあり、周りの人間にしてみたら、非常につらい心境でいました。

嗜癖の怖さとは、「自分の意思でやってない」のに、いつのまにか、まるで何か憑き物でも憑いたかのようにやってしまっているというわけです。

 

現代型の嗜癖、あなたの周りにもあるかも

・スマホが鳴っていないのに何度もチェックしてしまう。

・疲れてるのに深夜までスマホのスクロールが止まらない。

・買い物で届くまではワクワクするけど、開けたらすぐ飽きる。

・性的なことに耽ることで、虚しさをごまかしてしまう。

・最近話題になっているオンカジのようなちょっとしたギャンブル

それ、実は「楽しいからやってる」んじゃないかもしれないってこともあります。
感情を麻痺させたり、不安や空虚を埋めようとしてやっていることもあるのです。

 

やめられない自分を責めないで

嗜癖って、「だらしない」とか「意志が弱い」とか言われがちです。
でも実際は、心が「もう耐えられない」と叫んでるサインのことが多かったりします。何かにしがみつくことであなたは誰かに気づいてもらいたいのです。

感情を処理しきれないとき、人は代わりの行動でなんとかしようとしてしまうところがあります。
嗜癖は、生き延びるための苦肉の策だったりするのです。

「なんで私はこんなことを繰り返すんだろう?」って思ったとき、

行動を無理やりやめるより、まずはその奥にある気持ちを見つけてみてほしい。
自分はどうしてそれ(飲酒・ギャンブル・OD・性、買い物依存など)がやめられないのか?

その理由を考えて自身の心を見つめなおすことが嗜癖を治すことの第一歩となります。

 

回復のスタートは「気づき」から

同居者も、ある日ふと自分の中の「おかしさ」に気づいて、そこから少しずつ変わってきました。定期的に仕事にも出るようになり、生活のペースをゆっくり取り戻していきました。

嗜癖からの離脱には、時間はかかります。だけど確実に、その気づきは始まりになるのです。

ひとりでしんどかったら、専門家の力を借りましょう。
同じ悩みを抱える人たちが集まる自助会などへの参加も検討してもいいでしょう。

カウンセリングや自助会は「壊れた人が行く場所」ではありません。
ちゃんと「立ち止まって自分と向き合いたい人」「内省したい」自分を救いたい人が行く場所だと、私は思うのです。

 

嗜癖と依存は、心のSOSのかたち

嗜癖も依存も、実は「心の空白」が生んだ行動パターン。

決して「弱さ」じゃなくて、むしろ、その行動の奥にある感情に向き合おうとするあなたは、ものすごく強い人なのです。

だからもし、自分の中に何か引っかかるものがあったら、それはもう回復のはじまりです。

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