音楽と本に救われた10代

カウンセリング

私が育ったのは、団地の2DK。

実家は自営業だったため、両親は留守がちでしたが、 家族が4人そろう時間帯もあって、過干渉な母に一挙一動を監視されている生活だったのもあり、息苦しい思春期であったことは間違いありません。

仕切りは障子と襖だけ。

父がいるときはテレビも見せてもらえず、 スポーツ中継のTV音、両親はいつも口喧嘩、 そこにはプライバシーなど一切ありませんでした。

そんな環境で、私にとって唯一の避難所になったのが、音楽と本でした。 ヘッドフォンをしてしまえば私一人の世界に入り込める。

本を読むことで親からは学べない賢者の価値観に出会える。 あの頃の私を救ってくれたのは、音楽と本の世界だった。

プライバシーも自由もなかったけれど、音楽と本だけは裏切らなかった。 あの避難所があったから、私はなんとか息をしていられた。

音楽の避難所

中学生の頃、私はイギリスのネオアコやニューウェイブに夢中だった。

お小遣いをかき集めて買ったレコードは、あの団地のちっぽけで息苦しい空間の中で唯一遠い外国のフレッシュな文化で、“私のもの”と呼べる宝物だった。

団地の下にあるレコード屋で注文したレコード。

封を開けるとレコードジャケットの紙と塩化ビニールの香り、 ターンテーブルに針を落とす「カリッ」という音。

ヘッドフォンを通して流れてくる新しい音楽は、寂しさや孤独を癒してくれ、 このミュージシャン達も私のようにきつい家庭環境で育ったのだろうか?と、妄想して勝手に共感したりもしていました。

文学の避難所

中学生の私は、団地の中では音楽に守られていた。 けれど、外に出れば学校でいじめが待っていた。 教室では居場所がなく、声をあげることもできなかった。

だから私は、本の中に広がる世界観に逃げ込んだ。 サガンの小説に漂う倦怠や孤独は、いじめられていた自分の心と響き合った。

フランス文学の繊細さや独特の哲学、ロシア文学の人間の内面的な世界、重苦しさに触れると、

「この世の中には、親が押し付けてくる価値観以外の別の価値観や、別の生き方があるんだ」と知ることができた。

本を読むことは、「孤独は自分だけじゃない」、 親とは違う人間になろうという私の小さな抵抗でもあった。 親からは決して学べない賢者の言葉や視点が、 学校で潰されそうだった心を支えてくれた。

二つの避難所があったから

団地の中では音楽に、学校では本に守られていた。 ヘッドフォンをつければ現実の音が消え、本を開けば現実の痛みを忘れられた。

音楽と文学、二つの避難所があったからこそ、私は思春期を生き延びることができた。 あの時間がなければ、心はもっと荒んでいただろう。

今振り返れば、レコードと本に囲まれたあの頃の私こそ、 必死に「自分の生き方」を探していたのだと思う。 あの頃の避難所がなければ、今の私はいない。 音楽と本は、今でも私の心を支え続けている。

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