連休明け、心が重くなるときに
長い休みが終わったあと、ふっと心が沈む。
「また仕事か」「現実に戻るのがつらい」──そんな気持ちは、多くの人が抱く自然な反応です。
最近はそうした気持ちをAIに吐き出す人も増えました。AIはすぐに答えてくれるし、否定もされない。
私自身も「ただ肯定してほしいならAIで十分」と感じることがあります。
実際の話、私も日ごろAIを要所要所で利用していますし、時代の変化は目覚ましく、こんなに便利な時代が来るとは、10年前には想像すらしていませんでした。
でも一方で、AIを利用し続けることに対するメリットもデメリットも感じています。ここ最近、AIに依存してしまうという人口が急増し、ちょっとした社会問題化していることも気にはなっています。
肯定されることは悪いことではなく、むしろ良いことですが、すべてを肯定されてしまうことで自己改善の糸口が見えなくなってしまうといったこともあります。
AIは使いこなせばとても便利ではありますが、毒にも薬にもなるという側面も否めません。
クライアントの体験から見えたこと
実際に、私が担当しているクライアントさんの中にも、最近AIによるチャットサポートを使い始めた方がいます。
その方は夜になると不安で眠れず、頭の中で考えがぐるぐる止まらなくなってしまうというお悩みを抱えていました。人に迷惑をかけたくない気持ちもあり、深夜に誰かへ電話をするのはためらってしまう──そんな背景がありました。
そこで私は、「夜中に気持ちを吐き出すなら、AIのチャットサポートを試してみるのも一つですよ」と提案しました。
後日その方から、「AIってすごいですね。なんでも答えてくれるんですね」と感心した声を聞きました。確かにAIは、24時間いつでも応答してくれるし、どんな内容でも否定せずに受け止めてくれます。
けれども数日後、そのクライアントさんは再び私に通話相談を申し込んできました。
「AIもありがたいんですけど……やっぱり人に話すと安心しますね。人のぬくもりというか、声を聞くだけで落ち着くんです。」
通話越しの声は前よりも穏やかで、言葉の端々に少し余裕が戻っているのが感じられました。
この出来事は、AIの便利さを認めつつも、人と人との関わりにしかない“温度”があることを改めて教えてくれました。
AIが与えてくれる「即時の安心」
AIの魅力は、レスポンスの速さと安心感にあります。
・24時間、すぐに返ってくる
・感情をジャッジしない
・どんな内容でも受け止めてくれる
心理学でいう「情緒的支持(emotional support)」をAIは十分に果たしてくれます。
孤独を和らげ、今この瞬間の苦しさを軽くする──その点では非常に優秀です。
AIは「文脈」を読むのが苦手
AIは膨大な情報を処理できますが、人の人生の「文脈」をつなぐのはまだ難しいのが現状です。
・過去の体験と現在の感情の関連を見つける
・その人特有の“癖”や“パターン”に気づく
・正論ではなく、その人に合わせた言葉を選ぶ
こうした“その人にしかない物語”を感覚的に深く理解するのは、人間にしかできない領域です。
人との対話が生む「変化」
人間のカウンセリングの大きな役割は、“変化の伴走”です。
・対話の中から隠れたテーマを一緒に見つけ出す
・感情の微妙な揺れを受け取り、その人に合った言葉を絶妙なタイミングで差し出す
・「次の行動」を具体的に一緒に考える
・時間をかけて、その人の成長を見守る
そして何より、本来の心理サポートは「自己肯定感」と「自己改善」の両輪を支えることにあります。
「あなたはそのままで価値がある」と受け止められる体験が土台になり、その上で「じゃあ次にどう動くか」という改善のステップに踏み出せる。
このプロセスは、単なるやり取りや情報提供ではなく、“人との関わり”によって初めて深く機能する部分です。
心理学者ロジャースは「人は理解され、受容されるときに初めて変わり始める」と言いました。
理解される体験、そして肯定されながら少しずつ前進する実感は、AIではまだ届きにくい部分なのです。
賢い使い分け
私が提案したいのは、AIと人間を対立させるのではなく、うまく使い分けること。
感情を吐き出したいとき → AI
自己肯定感を育てたい・現実を変えたいとき → 人に相談
AIは「即効薬」、人との対話は「根本治療」。
どちらが上という話ではなく、両方を状況によって選ぶのが一番賢い方法だと思います。
まとめ
AIは孤独を和らげ、すぐに安心をくれる。
でも「本当に変わりたい」「自分を理解したい」と思ったときには、人に話すことが必要になります。
連休明けで気持ちが沈む今こそ、AIで気軽に吐き出すのもいいし、誰かに深く話すのもいい。
あなたにとって必要なのはどちらでしょうか。
私は、自己肯定感を支え、自己改善を一緒に進めるための伴走者として、あなたの一歩を支える準備ができています。
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