なぜ都会を離れたのか
コロナ禍以降、都会を離れて田舎で暮らす人が増えています。
私自身も当時、少しずつ動き始めていたケータリングの仕事がコロナでとん挫し、予定していた案件が次々となくなってしまいました。生活は行き詰まり、気持ちもどんどん追い込まれていました。
さらに私の場合、長年にわたる母との確執がありました。母は認知症になってもなお心理的な支配を繰り返し、私が言いなりにならないと泣き落としで情に訴えてくる。私自身が苦しい状況にあっても、それは母にとって関心の外でした。気づけば「私の人生は母のご機嫌取りでできているのでは?」と考えるようになり、まるで私の人生の主人公は母であって、私は脇役のように感じてしまったのです。
そんな中で、ずっと心にあった「田舎に移住したい」という思いが現実味を帯びてきました。苦しさの中でようやく「自分の人生を自分のものにするために」、田舎に移ることを決意したのです。
田舎移住というと、多くの人は「自然に囲まれて暮らしたい」「スローライフに憧れて」といった前向きな理由を思い浮かべるかもしれません。
けれど、私の場合は少し違いました。根っこにあったのは「人間関係の重さから逃れたい」「誰にも干渉されずに生きたい」という切実な思いです。
この「誰にも干渉されたくない」という感覚は、子どもの頃から続いている親との関係と深く結びついています。親との確執の中で育った私にとって、移住は単なる環境の変化ではなく、自分を縛りつけてきた関係から少しでも自由になるための選択でもありました。
毒親育ちの共通点:安心できる場所がない
毒親のもとで育つと、「家にいても気が休まらない」という感覚が当たり前になります。私もそうでした。小さな頃から母の顔色を伺い続け、母に褒められるにはどうしたらいいか、そんなことばかりにとらわれてしまい、緊張するのが習慣のようになってしまって、大人になってもこの思考のクセが抜けませんでした。気づけば、どこにいても周りの表情や評価に振り回され、常に緊張していたのです。
そんな私にとって都会は「人の視線や評価にさらされ続ける場所」でした。逃げたいのに逃げ場がなく、心からリラックスできる瞬間がほとんどありませんでした。生まれ育った東京で知り合った多くの人脈やつながりを切り捨てて前に進むことは私にとって大きな決断でした。
ですが、東京から遠く離れた九州の地方都市に移ったことで、ようやく「深呼吸できる感覚」を味わえたんです。ここはスーパーもコンビニも揃っていて暮らしやすい反面、刺激が少なく、楽しめることもあまりない、いわば質実剛健な土地。でもその「何もない感じ」が、私にとっては余計な視線や人間関係から解放される安心感につながりました。便利だけど退屈、その中にある静けさが、私を少しずつほぐしてくれたのだと思います。
現在移住6年目。今にして思うと、なぜ私は東京での生活に執着していたのだろう?とまで、考えるようになりました。固定資産税は年間たったの7万。野菜や果物が安くておいしい。無理をせずに自分の心と対話しながら今の仕事に打ち込めることの喜びをひしひしと感じる毎日です。
逃避は悪いことじゃない
「逃げる」という言葉にはネガティブな響きがあるかもしれません。けれど私は、逃げて良かったと思っています。むしろ逃げなければ、ずっと同じ苦しみのループから抜け出せなかったはずです。毒親育ちにとって「安心できる距離を取ること」は、心を守るための立派な戦略。逃げたことで、ようやく「自分の人生」を取り戻すスタートラインに立てたのです。
田舎には不便さもありますし、都会のような刺激もありません。けれど地方都市ならではの「静けさ」と「人とのちょうどいい距離感」があるからこそ、他人の期待や圧に縛られにくくなります。これが、都会にはなかった私にとっての“癒やし”でした。
経営しているお店に来られた移住者のお客さんも、こんなことを話してくれました。
「この土地は田舎だけど、人とちょうどいい距離感でいられる。近所付き合いを一切しなくても窮屈にならずに生きられるんです。」
たまたま環境に恵まれたのかもしれませんが、私も同じように感じています。特に近所付き合いを強いられることもなく、移住者同士がふわっとした距離感でつながっていられる。それが、とても心地よいのです。
毒親育ちが田舎移住に惹かれるのは、単なるライフスタイルの選択ではなく「自分を守るための選択」でもあると思います。たとえ逃避から始まったとしても、その先に「本当に安心できる暮らし」があるのなら、それは立派な一歩なのです。
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