久しぶりのブログ更新です。
昨日は母の日でしたね。
街にはカーネーションが並び、SNSには「お母さんありがとう」という言葉が溢れていました。
ですが私は昔から、家族のイベントごとになると、なぜか少し気持ちが沈んでしまうタイプでした。
例によって、母の日になると今でも少し複雑な気持ちになります。
というのも、私は子供の頃から、母の日にカードやプレゼントを渡しても、母が心から嬉しそうにしてくれた記憶がほとんどないからです。
カーネーションを渡しても、どこか困ったような顔をする。
照れているのか、不機嫌なのか、申し訳なさそうなのか分からない曖昧な暗い表情。
子供だった私は、その顔を見るたびに傷ついていました。
「なぜ喜んでくれないんだろう」
「私の愛情は迷惑なのかな」
そんな風に感じていた気がします。
半額になっていた小さな鉢植え
でも、ある年の母の日だけは少し違いました。
その頃の私は、本当にお金がありませんでした。
それまでは毎年、花束を贈っていたのですが、その年は当日になって、売れ残って半額になっている鉢植えのカーネーションを見つけたのです。
当時は、ハイブリッド種のカーネーションがまだ珍しく、見たことのないような小花でした。
どちらかと言えばナデシコ寄りの可憐な花で、後からネットで画像検索をしてみたところ、「ビジョナデシコ」という品種だったように思います。
とても綺麗ではありましたが、半額の切り花ではなく、安価な鉢植え。
「半額の鉢植えなんかで嫌な顔されないかな」
そんな不安を抱えながら、その鉢植えを抱えて母に会いに行きました。
ですが、その時だけは、なぜか母はその花を見て、
「まあ、綺麗ね!」
と、とても嬉しそうに笑ったのです。私にとってこれは青天の霹靂のようなものでした。
毎年咲き続けた花
後日、実家へ帰った時、その花は新しい土を与えられ、大きな鉢に植え替えられていました。
ベランダの日当たりのいい場所に置かれていて、母が毎日水をやり、
美しい小花がぽんぽんと咲き、私たちの目を楽しませてくれました。
しかも、ナデシコは多年草ですので、その花は一年で終わりませんでした。
翌年も。
その翌年も。
5年くらい、毎年ちゃんと美しい花を咲かせていたのです。
エネルギッシュにこの花が咲き誇るたびに、私は不思議な気持ちになりました。
「ああ、こんなに大事に育ててくれてたんだ」
そう思うと嬉しいと同時に、どこか認められたような感覚もありました。
それまで、母がプレゼントを喜んでくれた記憶がほとんどなかったからです。
だから余計に、
「なんでこの花だけは、こんなに大切にしてくれたんだろう」
そんなことを何度も考えました。
母もまた、愛され方を知らなかったのかもしれない
今の母は認知症を発症し、私ももういい年の大人になりました。
そんな今だからこそ、少しずつ見えてきたことがあります。
私の母は、生まれて間もない頃に実母を亡くしています。
しかも病死ではなく、自死でした。
その事実を母から聞かされたのは、ついここ10年ほど前のことです。
それまでは、母の不器用さや情の薄さのようなものを、私はずっと「性格」だと思っていました。
ですが、それは一部では誤解だったのかもしれません。
母自身が、「愛される」という感覚を、人生の最初の段階で失っていたのではないか。
愛情を受け取る器そのものを、育ててもらえなかったのではないか。
幼い子供にとって、親の不在はあまりにも大きな出来事です。
特に理由も分からないまま親を失った子供は、無意識に、
「自分が悪かったのではないか」
と考えてしまうことがあります。
「自分には価値がないから捨てられた」
「自分は愛されない存在なんだ」
そんな感覚が、言葉にならないまま、心の深い場所に沈殿していく。
もし母が、そんな孤独を抱えたまま大人になったのだとしたら。
私が差し出したカーネーションに、うまく笑えなかった理由も、少しだけ分かる気がするのです。
花だけが知っていた愛情
嬉しくないのではなく、
愛情を向けられること自体に戸惑っていたのかもしれない。
「受け取っていい」という感覚が分からなかったのかもしれない。
それでも、母の心の深い場所では、私からの情をちゃんと受け取っていた。
だからこそ、私が生活困窮の中で小銭をかき集めて買ったあの鉢植えを、何年も黙って育て続けていたのかもしれません。
言葉では受け取れなかった愛情を、
花の世話をすることで返していたのかもしれない。
もちろん、だからといって子供時代の寂しさが消えるわけではありません。
親にも事情があった。
でも、子供だった自分も確かに傷ついていた。
その両方が真実なのだと思います。
母の日というのは、「感謝しなければならない日」というより、親子関係について静かに考えてしまう日なのかもしれませんね。
私、ルーム718は、
毒親育ち、機能不全家庭、
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